二世帯住宅へのリフォームで、完全分離型の間取り実例と注意点について、リフォーム設計のプロが解説します。
単世帯→二世帯にする場合、多くのお施主様が最初は以下のように要望します。
このように、完全分離型二世帯は独立性が高いので、人気があります。
でも、完全分離型二世帯へのリフォームには、デメリットも。
そのため、打合せを進めていくうちに、完全分離型をあきらめ、玄関やお風呂などを共有する一部共有型二世帯住宅リフォームに変更する人が少なくありません。
この記事では、以下2つの間取り実例を紹介。
- 玄関共有型二世帯住宅→完全分離型二世帯住宅へのリフォーム
- 単世帯→増築して、完全分離型二世帯へのリフォーム
さらに、完全分離型二世帯住宅リフォームのデメリットや注意点、費用、補助金について解説していきます。
ぜひ最後まで読んで、完全分離型二世帯住宅リフォームの検討に役立ててくださいね。
これからリフォームをするすべての人に読んでもらいたい記事はこちら。
リフォーム会社の選び方についての必勝法はこちら。
おしゃれなリフォームをするために絶対必要な5ステップはこちら。
10万円以上のリフォームをする人に知っておいてもらいたいことはこちら。
二世帯住宅リフォームについての別記事はこちら。
玄関共有型→完全分離型二世帯へのリフォーム【間取り実例①】
完全分離型二世帯住宅へのリフォーム、間取り実例1つ目はこちら。
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玄関共有型二世帯住宅→完全分離型二世帯住宅へのリフォーム事例です。
この家はもともと二世帯住宅でしたが、玄関共有型だったので、完全分離型に間取りを変更。
二世帯のメンバーも、以下のように変わっています。
ビフォー
- 1階:親世帯(ご夫婦)
- 2階:子世帯(ご夫婦)子供は独立
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アフター
- 1階:親世帯(お父様お1人)+子世帯(ご夫婦)
- 2階:孫世帯(独立した息子さん夫婦)+子ども2人
1階と2階にわけて説明していきますね。
1階=親世帯+子世帯
1階リフォームのメインは、玄関を1→2にすること。
1階ビフォー
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勝手口があった部分の近くに、孫世帯用の玄関を造ります。
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孫世帯用の玄関と階段を連動させるため、階段の上り方向を変更します。
ビフォーアフター
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吹抜はそのままで、階段だけを架け替えました。
新しく造った孫世帯の玄関には、小さいけれど、ただいま手洗いを設置。
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親世帯+子世帯の1階と、孫世帯の2階が完全に分離されました。
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あらためて、1階全体のビフォーアフターはこんな感じ。
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続いて、2階のリフォームを見てみましょう。
2階=孫世帯
この間取り事例は、もともとが二世帯なので、2階にもキッチンやお風呂などがリフォーム前からあります。
でも、キッチンが少し小さめなので、それを間取り変更していきます。
ビフォーはこんな感じ。
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狭い上に、対面キッチンではないので、お施主様が間取り変更を希望されました。
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この間取り事例の場合、キッチン前にどうしても壁が残ってしまいます。
でも、キッチンは巾の広いものが入り、シンク前はオープン。
キッチン背面の収納スペースもタップリとれました。
続いて、主寝室廻りの間取りも見ていきます。
ビフォー
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書斎をなくして、間取りを変えていきます。
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主寝室の位置が変わり、WICとキッチンが広くなりました。
そして、階段を架け替えた部分のビフォーアフター。
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これで、1階が完全分離になりました。
あらためて、2階全体のリフォームを見るとこんな感じ。
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この二世帯リフォームの間取り事例は、もともとが二世帯だったため、それほど大きな間取り変更をぜずに、完全分離型に変更できました。
でも、内部の工事以外に、新しく造った孫世帯用の玄関~道路までのアプローチ工事が必要で、そこにけっこう費用がかかっています。
続いて、もう1つの間取り事例を見ていきます。
単世帯→増築して、完全分離型二世帯へのリフォーム【間取り実例②】
完全分離型二世帯住宅へのリフォーム、間取り実例2つ目はこちら。
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単世帯→完全分離型二世帯住宅へのリフォーム事例です。
こちらも、おもに以下のように分離。
- 1階=親世帯+子世帯用ミニ玄関
- 2階=子世帯
1階と2階のリフォームを分けて説明しますね。
1階=親世帯+子世帯用ミニ玄関
1階リフォームのメインは、子世帯用のミニ玄関をつくること。
メインの玄関はそのままで、若奥様が気兼ねなく家を出入りできるように、ミニ玄関を設けます。
ミニ玄関部のビフォーはこんな感じ。
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トイレを90度回転して、ミニ玄関をつくります。
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2階へ上がる階段と、子世帯用のミニ玄関が同じエリアにおさまりました。
子世帯用のミニ玄関外部にも、玄関ポーチが必要なのでつくります。
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親世帯用メイン玄関のポーチを大きくして、子世帯用の玄関ポーチと共有にします。
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めちゃくちゃ広々とした玄関ポーチができました。
このゆったりとした玄関ポーチのおかげで、家の外観も大きく変化。
玄関ポーチが共有なので、道路から玄関ポーチまでのアプローチは、ほとんどそのまま使用。
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外構工事は、共有の玄関ポーチ部分だけで済みました。
あらためて、1階全体のリフォームを見てみると、こんな感じ。
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1階の親世帯は、子世帯用のミニ玄関以外、ほとんど間取りを変更していません。
続いて、2階のリフォームを見ていきます。
2階=子世帯
2階はすべて子世帯が使用します。
子世帯は4人家族なので、ビフォーの2階床面積ではちょっと厳しい感じ。
ビフォー2階
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1階の屋根部分と吹抜部分に床を組み、増築します。
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増築した部分に、主寝室とWIC、納戸を設けました。
単世帯→完全分離二世帯リフォームなので、2階に新しくLDKやお風呂、洗面所が必要。
まずは、LDK。
ビフォーはこんな感じ。
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南面の主寝室と洋室、収納部分をLDKに間取り変更します。
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LDKと、お施主様の要望通り、4畳半+収納の和室もつくりました。
今回のリフォームでは、子供部屋が1つ。
子どもは男の子2人なので、将来1人部屋がほしくなった場合は、この和室を使えるようにしています。
そして、子世帯用のお風呂と洗面室をつくります。
2階ビフォー
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ビフォーではトイレと小さな洗面コーナーしかないので、もう少し大きなスペースに間取り変更していきます。
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あらためて、2階のビフォーアフターはこんな感じ。
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完全分離型の二世帯住宅になりました。
次は、多くの人が完全分離型二世帯をあきらめる「デメリット」について、お話します。
完全分離型二世帯住宅リフォームのデメリット
完全分離型二世帯住宅リフォームには、2つのデメリットがあります。
- 間取りがきゅうくつ
- リフォーム費用が高額
1つずつ簡単に説明します。
完全分離型二世帯住宅は、間取りがきゅうくつ
完全分離型二世帯リフォームのデメリット、1つ目は間取りがきゅうくつなこと。
玄関と玄関ホールを各2つずつ設けるため、1階の間取りがきゅうくつになります。
また、2階もすべての水廻り空間、キッチン、お風呂、洗面、トイレを新たに設けるため、一部を共有する二世帯と比べると、間取りはキツめ。
このあたりの間取り比較については、別記事でめちゃくちゃくわしく解説しています。
同じ床面積で以下4プランを作成し、間取りのゆとりやきゅうくつ具合を比較。
- 完全分離型二世帯住宅
- 玄関共有型二世帯住宅
- 玄関と風呂共有の二世帯住宅
- 全部共有型二世帯住宅
普通の家を二世帯にリフォーム!間取り例や注意点・費用をプロが解説
どの間取りタイプで二世帯リフォームをするか迷っている人は、ぜひあわせてチェックしてみてくださいね。
完全分離型二世帯リフォームは、費用が高額
完全分離型二世帯リフォームのデメリット、2つ目はリフォーム費用が高額なこと。
玄関1→2にすることで、道路から新しい玄関までのアプローチ工事が必要になります。
また、単世帯から完全分離の二世帯にリフォームするということは、LDK、お風呂、洗面などをすべてもう1つずつ新しく設けなければなりません。
そのための間取り変更は、大がかりになりがち。
あんまりにも間取りを変えると、新築と変わらないような費用がかかるし、「今あるものを生かす」というリフォームのメリットを生かせません。
ここで紹介した2つのリフォーム事例くらいの間取り変更なら、今の間取りを生かせていますが、壁や窓の位置をほとんど変えてしまうようなリフォームは、費用的にも構造耐力的にもあまりおすすめできません。
完全分離型二世帯リフォームの注意点
完全分離型二世帯リフォームをするときの注意点について、お話します。
注意点は以下2つ。
- 完全分離型二世帯リフォームは、アプローチのこともよく考える
- 完全分離型二世帯住宅でも、二世帯間に出入りできる戸が必要
1つずつ説明します。
完全分離型二世帯リフォームは、アプローチのこともよく考える
完全分離型二世帯リフォームの注意点、1つ目はアプローチ。
先の間取り事例でもお話しましたが、玄関を新しくもう1つ設けると、道路~新しい玄関までの外構工事も必要になります。
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先に紹介した2つ目のリフォーム間取り事例です。
この場合は、2つの玄関が近いので玄関ポーチを共有しています。
この事例は2つの玄関が近いので、アプローチの工事は、それほど大きなものにはなりません。
続いて、1つ目のリフォーム間取り事例のアプローチを見てみましょう。
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この間取りの場合は、2つの玄関がかなり離れています。
ですので、新しくつくる玄関~道路までのアプローチを新設する必要があります。
でも、この事例の場合は、この位置に新しい玄関を設けることで、内部の工事が少なくて済み、費用が下がります。
外構工事費用がかかっても、内部の工事費用が下がるので、新しい玄関はこの位置にしました。
完全分離型の二世帯住宅リフォームをする場合は、内部の間取りだけでなく、外部のアプローチについてもよく検討しましょう。
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完全分離型二世帯住宅でも、二世帯間に出入りできる戸が必要
完全分離型二世帯リフォームの注意点、2つ目は世帯間の出入りについて。
完全分離型二世帯というと、二世帯間はまったく出入りできないイメージを持つと思います。
でもそうすると、建物の用途が「一戸建ての住宅」ではなくなるので、法規が厳しくなります。
法規が厳しくなると、世帯間の壁や天井の構造に求められる性能が高くなり……
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リフォーム費用が
バカみたいに
高くなるよ!
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リフォームの場合、それは現実的ではないので、必ず世帯間に戸をつけるよう設計します。
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1つ目の事例ですが、孫世帯の玄関ホール~親世帯+子世帯のキッチン間に戸を設けています。
完全分離型二世帯リフォームは、住みながら工事できる?
完全分離型の二世帯住宅にリフォームする際、よく質問されるのが以下。
基本的に、完全分離二世帯リフォームは、規模の大きな工事になるので、仮住まいがおすすめ。
とはいえ、2階メインのリフォームで、工事中に1階だけで生活できるという場合は、住みながらの工事にすることもよくあります。
でも、「普通の家を二世帯にリフォーム!間取り例や注意点・費用をプロが解説」にも書きましたが、2階だけをリフォームして二世帯にすることはほとんど不可能。
間取りによりますが、1階側からの工事が大なり小なり発生するケースがほとんどです。
それらの工事が行われるときの不自由さや、工事音、工事関係者の出入りなどに耐えられそうかどうかも考えて、住みながらか仮住まいかを検討しましょう。
リフォーム会社ともよく相談してみてくださいね。
完全分離型二世帯リフォームの費用
完全分離二世帯リフォームの費用は、一部共有型や全部共有型の二世帯リフォームと比べて高めです。
- どの程度の間取りをいじるのか
- 道路から新しい玄関のアプローチ工事はどの程度か
- 新しく入れるキッチンなどの設備グレードはどの程度のものなのか
これらによっても、リフォーム費用は大きく変わるので、一概にいくらとはいえません。
そうですよね。
そんな人は、こちらのサイトがめちゃくちゃ参考になりますよ。
「こんな二世帯リフォームをしたら、費用がこのくらいかかった」
というデータが、山ほど見られるサイトです。
↓ ↓ ↓
名前や住所、メアドなどの登録は一切不要なので、気兼ねなくチェックしてみてくださいね。
トップページから画像の「二世帯リフォームの費用と相場まで」の行き方や、サイトの使い方は、別記事でくわしく説明しています。
二世帯住宅にリフォーム!費用と相場・補助金で知っておくべき5つのこと
ぜひ、あわせて読んでみてください。
完全分離型二世帯リフォームに使える補助金
完全分離型二世帯リフォームは、先にお話した通り、費用が高め。
ですので、補助金を使う人がたくさんいます。
よく使われる補助金は以下。
- 介護保険
- こどもみらい住宅支援事業→こどもエコすまい支援事業
- 長期優良住宅化リフォーム推進事業
各補助金については、「二世帯住宅にリフォーム!費用と相場・補助金で知っておくべき5つのこと」でくわしく説明しています。
あわせてチェックしてみてくださいね。
完全分離型二世帯リフォームの必勝法
完全分離型二世帯リフォームは、構造的にも、打合せ的にも、難易度が高め。
難易度の高いリフォームは、失敗してしまうと、手に負えない状態になりかねません。
二世帯リフォームの計画をこのまま進めていく前に、リフォームのプロが教える「リフォームを成功させるための秘訣」を知っておきませんか。
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リフォーム成功に必要なたった1つのこと|すべての失敗はコレが原因
リフォームのウラもオモテも知り尽くした筆者が、あなたにリフォームの必勝法を教えます。
完全分離型二世帯リフォームの間取りや注意点|まとめ
完全分離型二世帯リフォームの間取りや注意点、デメリットなどについて、お話してきました。
完全分離型二世帯住宅は、玄関や玄関ホールを2つ必要とするため、1階の間取りがきゅうくつになります。
ほかにも、限られた床面積の中で、すべての水廻り空間、キッチン、お風呂、洗面、トイレを、各2つずつ必要とするため、全体的な間取りがきゅうくつになりがち。
また、完全分離型二世帯リフォームは、間取りの変更が多く、費用が高め。
これらのデメリットから、完全分離型二世帯をあきらめ、一部共有型や、全部共有型の二世帯リフォームに方向転換する人も少なくありません。
この記事や、他の二世帯記事を参考に、あなたにあった二世帯リフォームを見つけてくださいね。
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