屋根塗装の必要性、メリットやデメリットについて、リフォーム設計のプロが解説していきます。
「屋根塗装」とひとことで言っても、
- スレート(カラーベスト)
- アスファルトシングル
- セメント瓦
など、さまざまな屋根材の塗装がありますが、この記事では「スレート」の屋根塗装についてのみ説明していきますね。
屋根塗装のメリットは、2つ。
- 見た目がきれいになること
- カビやコケなどによって、屋根材の防水性能が落ちるのを防ぐこと
/
まさに、
屋根塗装の
重要なポイントはソコ!
\
まずは、スレート最大手、KMEWのコメントを見てください。
↓ ↓ ↓
カラーベストは、表面の色が薄くなったり、汚れがついても、屋根材としての基本性能・防水性には問題ありません。
出典:KMEW
そう思いますよね。
この記事では、以下についてわかりやすく解説していきます。
- 屋根塗装がどんな時に必要なのか
- 屋根塗装のメリットとデメリット
- 屋根塗装の材料や施工方法などの注意点
屋根の塗装は正しく行わないと、効果がないどころか、悪影響を及ぼすことも。
適したタイミングで、適した塗料で施工して初めて、屋根塗装は効果があります。
ぜひ最後まで読んで、正しく屋根塗装をしてくださいね。
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10万円以上のリフォームをする人が、必ず知っておくべき内容をまとめた記事はこちら。
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屋根塗装のメリット
屋根塗装のメリットについて、解説していきます。
屋根塗装のメリットは、先にもお話した以下2つ。
- 見た目がきれいになること
- カビやコケなどによって、屋根材の防水性能が落ちるのを防ぐこと
1つずつ説明していきますね。
屋根塗装のメリット①見た目がきれいになる
屋根塗装のメリット、1つ目は見た目がきれいになること。
最近のスレートは、昔のものと比べて、かなり色あせしにくくなってきています。
たとえば、KMEWのスレート屋根は、「製品の色感が著しく変化しないこと」について、10年間の保証をつけています。
でも、20年後も、30年後もそのままきれいかというと、そこまではムリ。
紫外線によって、やっぱり色は褪せてきます。
外壁塗装のタイミングがだいたい10年ごとなので、それにあわせて、屋根の塗装をすることが多いです。
ただ、先にも書いたように、
「屋根塗装をする=屋根材の基本性能や防水性能を上げる」
ではありません。
ここでお話しているメリットは、言葉通り、「見た目がきれいになる」だけ。
それについては、次のもう1つの屋根塗装のメリットでお話します。
屋根塗装のメリット②カビやコケなどによって、屋根材の防水性能が落ちるのを防ぐこと
屋根塗装のメリット、2つ目はカビやコケなどによって、屋根材の防水性能が落ちるのを防ぐこと。
屋根塗装をする最大のメリットがこれだと、筆者は考えています。
先にお話した、KMEWのスレート屋根の保証「製品の色感が著しく変化しないこと」には、除外される事項があります。
それが以下。
屋根材の先端部や木口部の汚れや変色、苔・藻・カビ等の発生による汚れや変色などは含まれません。
出典:KMEW
カビやコケ、藻は、屋根材に根を張っていきます。
さらに、スレートとスレートの隙間を、カビやコケ、藻が埋めてしまうことによって、雨水の流れが悪くなり、雨漏れにつながるケースも。
そうなってしまうと、屋根材の基本性能や防水性能は保たれません。
高圧洗浄をかけて、しっかりとカビやコケ、藻を除去し、新たなカビやコケ、藻がつかないよう、屋根塗装をする必要があります。
屋根塗装のデメリット
屋根塗装のデメリットについてお話します。
屋根塗装のデメリットは、以下3つ。
- 屋根塗装を3回以上するのはおすすめできない
- 屋根塗装によって、屋根の寿命を縮めることがある
- 屋根塗装をしても無駄なことがある
1つずつ説明していきます。
屋根塗装を3回以上するのはおすすめできない
屋根塗装のデメリット、1つ目は屋根塗装の回数について。
屋根塗装をすると、そのたびに塗料の厚みで、スレート間のすき間が小さくなっていきます。
小さなすき間ができると、そこに水が入り込みやすくなる「毛細管現象」が起き、屋根材の下に水が入りやすくなってしまうのです。
そして、スレートのすき間が小さくて外に出られなくなった雨水が、屋根材の下に滞留することに。
屋根材の下に雨水が滞留するとどうなるか。
/
雨漏れします
\
毛細管現象を防ぐための「タスペーサー」(後述します)という材料もありますが、やっぱりスレート間のすき間は塗装の都度、小さくなっていくので、屋根塗装は2回までが安心です。
屋根塗装によって、屋根の寿命を縮めることがある
屋根塗装のデメリット、2つ目は屋根塗装によって、逆に屋根の寿命を縮めてしまうことがあること。
タスペーサーを使わずに施工したり、適切な施工をしないと、先にお話した、スレート間のすき間がなくなり、雨漏れにつながります。
また、今のスレート屋根はアスベストが入っていないので、昔のものよりもろくて割れやすいです。
無神経な塗装業者さんが、スニーカーでズカズカと屋根の上を歩くと、すぐに割れてしまいます。
屋根塗装をしても無駄なことがある
屋根塗装のデメリット、3つ目は屋根塗装をしても無駄になるケースがあること。
屋根塗装は、「適切な状態の屋根」に施工しないと、まったく意味がありません。
後ほど、「屋根塗装を選択してよい屋根」のところで説明しますね。
屋根塗装と他の屋根リフォームを比較
次に、屋根塗装と他の屋根リフォームを比較していきましょう。
屋根塗装が他の屋根リフォームより優れていること
屋根塗装が他の屋根リフォームより優れているのは、以下2つ。
- 費用が安い
- 工事期間が短い
屋根の葺き替えや、カバー工法と比較すると、短期間で安くリフォームができます。
屋根塗装が他の屋根リフォームより劣っていること
屋根塗装が他の屋根リフォームより劣っているのは、以下2つ。
- 安心感が低い
- 次のメンテナンスまでの期間が短い
屋根塗装は屋根材の上から塗装するだけなので、屋根のしたの防水紙や合板はそのまま残ります。
それに対し、葺き替えやカバー工法は、合板を上張りしたり、防水紙を交換するなどするため、安心感が大きくアップ。
屋根塗装は安心感が低い分、以下をしっかり確認してから行いましょう。
- 屋根の上を点検し、屋根材の痛みがないかを確認
- 小屋裏の中を点検し、野地板の状態、雨漏れの跡がないかを確認
- その上で既存の屋根に問題がないことをきちんと確認
「屋根塗装」を選択してよい屋根
屋根塗装を選択してよい屋根を説明する前に、屋根がどんな構造でできているのかを見ていきましょう。
屋根の構造はこんな感じ。
↓ ↓ ↓
上から順に、以下のような構造になっています。
- 屋根材(スレートや瓦など)
- 下葺き材(ルーフィング、防水紙ともいわれます)
- 野地板(下地合板、下地ベニヤともいわれます)
- 小屋組(屋根を支える骨組みを指します)
この構造をイメージしながら、これから先を読んでいってくださいね。
では、本題の「屋根塗装を選択してよい屋根」について、お話します。
屋根塗装を選択してよい屋根は、以下に1つも当てはまらない場合のみ。
- 築年数30年超え
- 天井や小屋裏に雨漏れの形跡がある
- 屋根の塗装を2回以上している
これらに当てはまる場合は、屋根材自体が劣化している可能性が高いので、屋根塗装はおすすめできないし、屋根塗装をするメリットはゼロ。
屋根材自体が劣化しているのに、屋根塗装をしても、まったく意味がありません。
上の3つに1つでも当てはまる場合は、
- 葺き替え
- カバー工法
この2つのどちらかのリフォームを選択しましょう。
カバー工法については別記事でくわしく説明しています。
屋根のカバー工法はデメリットに注意!リフォームのプロが教える注意点
「屋根塗装」を選択してはいけない屋根
次は、屋根塗装を選択してはいけない屋根について、お話します。
「屋根塗装」ではなく「屋根の葺き替え」をおすすめするのは、以下の3つの場合。
- 築年数30年超え
- 屋根材がたくさん割れていたり、水が屋根材の下に入り込んでいる形跡がある
- 天井や小屋裏に雨漏れの形跡がある
これらに1つでも当てはまる場合、以下の理由で「屋根塗装」でも「カバー工法」でもなく、「屋根の葺き替え」をおすすめしています。
- 屋根材自体が傷んでいる可能性が高いこと
- 屋根材の下にある「防水紙」や「下地合板(ベニヤ)」まで傷んでいる可能性も高いこと
- 塗装ではその傷んでいる部分の確認をすることができないこと
屋根材の下がこんな状態になっているのに、カバー工法や屋根塗装ではダメなこと……わかりますよね。
また、
屋根の塗装を2回以上している
この場合、先にもお話しましたが、「3回目の屋根塗装」はおすすめできません。
葺き替え、または、カバー工法で屋根リフォームをしましょう。
屋根塗装の注意点
屋根塗装の注意点について、お話していきます。
ひとことで屋根の塗装といっても、
- 選ぶ塗料
- 施工の方法
これらによって金額が大きく変わります。
ですので、間違っても、
こんなことがないように、以下の内容をチェックしていきましょう。
タスペーサーを使う予定があるか
何度か名前を出しているこのタスペーサーは、スレートとスレートの間に入れて、「毛細管現象」がおきないように、隙間を十分に空けるための部材。
タスペーサーなしで塗装をすると、隙間が狭くなって雨漏れの原因になってしまいます。
ひと昔前は、へらなどで「縁切り」をして、スレート間のすき間を空けていたのですが、最近は「タスペーサー」を利用した施工のほうがより安全なのでそちらを選ぶことがほとんどです。
あなたが依頼したリフォーム会社は、タスペーサーを使う予定がありますか?
へらで縁を切って終わりにしようとしていませんか?
どんな塗料を使って施工するのか。材料の確認
屋根塗装の塗料に、どんなものを使うのかを確認してみてください。
塗料の価格や寿命は、基材や機能によって変わります。
戸建て住宅で使う塗料の基材は、以下の4つ。
- アクリル
- ウレタン
- シリコン
- フッ素
一番寿命が長く金額が高いのがフッ素。
フッ素→シリコン→ウレタン→アクリルの順で金額と性能が下がっていきます。
ちなみに私がよく使う塗料は、エスケー化研の「ヤネフレッシュSi」か、「クールタイトSi」です。このSiが「シリコン基材」を表しています。
ひと昔前はアクリルやウレタン基材の塗料を使っていましたが、年々よい塗料が好まれるようになってきているので、今はシリコン基材が主流。
逆に一番高いフッ素基材の塗料は、まだ高すぎるので、住宅に使うことはそう多くありません。
機能については、「防汚機能」や「遮熱機能」がついているものがあります。
「防汚機能」は程度の違いはありますが、たいていの塗料についている機能。
そしてこれは私の個人的な意見ですが、屋根の塗料に「遮熱機能」は必ずしもつけなくてよいように思っています。
なぜなら、屋根の塗料を遮熱にするよりも、小屋裏の屋根の下の面に断熱材を吹いたほうが、断熱性能が高いから。
もちろん遮熱塗料と断熱材のダブルで施工すれば、より効果はあるとは思いますが。
屋根の断熱や遮熱で室内の暑さがやわらぐ!おすすめの断熱材と塗料も
屋根塗装の色
次は屋根塗装の色選びについてお話します。
屋根の色で断トツに多いのは「黒」ですが、断トツに熱くなるのも「黒」。
とはいえ、あんまり薄い色の屋根は、見慣れていないので違和感が出がちです。
そこで、「まっ黒」よりは少しでも熱くなりにくい、「濃茶」や「濃紺」などを選んでみてはいかがでしょうか。
ちなみに「グリーン」もよく使われている色なので、見た目の違和感はありません。
屋根の色を決めるときは、外壁とのバランスが大切なので、色合わせをして決めてくださいね。
それと屋根塗料のツヤですが、汚れ落ちのことを考えて「10分ヅヤ」がおすすめ。
外壁の場合はテカテカの仕上がりを嫌って、塗料を「3分ヅヤ」に指定することも多くあるのですが、屋根の場合は「汚れにくさ」を最優先に考え、ツヤを落とさずに塗装します。
屋根塗装をするなら、あわせて検討したい工事項目
外壁塗装などの外壁リフォーム
屋根塗装は足場を組むので、その足場を屋根塗装のためだけでなく、外壁のリフォームにも使うと一石二鳥です。
屋根と外壁はメンテナンスの年数もだいたい同じくらいなので、外壁も一緒にリフォームすることをおすすめします。
雨どいの塗装
屋根が塗装してきれいになると、雨どいの汚れも目立ちます。
雨どいも一緒に塗装しましょう。
屋根塗装リフォームの必勝法
ここまでに、屋根塗装についてお話してきましたが、
最後にもう一度確認させてください。
- 屋根の上を点検し、屋根材の痛みがないかを確認
- 小屋裏の中を点検し、野地板の状態、雨漏れの跡がないかを確認
- その上で既存の屋根に問題がないことをきちんと説明してくれましたか?
点検もせずに「屋根は塗装で大丈夫ですよ」なんてリフォーム会社に言われて、屋根塗装を決めていませんか?
屋根のリフォームは、単純な工事のようで、材料や施工で大きく成果が異なります。
これまでにたくさんのひどいリフォームを見てきた筆者が、リフォームで失敗する人を1人でも減らそうという思いで書いた記事があります。
リフォームのウラもオモテも知り尽くした筆者が、リフォームの必勝法をあなたに伝授!
↓ ↓ ↓
リフォーム成功に必要なたった1つのこと|すべての失敗はコレが原因
リフォームをするすべての人が、読んでおいて損はない内容です。
屋根塗装のメリット|まとめ
屋根塗装のメリットについて、お話してきました。
屋根塗装をすれば、屋根の基本性能や防水性能がアップするということはありませんが、カビやコケ、藻などによる性能ダウンを避けることができるというメリットがあります。
もちろん、見た目がきれいになるというメリットも。
家のメンテナンスの中で最も重要なのが、屋根と床下のメンテナンス。
その大事な部分をどうリフォームするかは、今後の「家のモチ」に大きく影響します。
リフォーム会社まかせにせず、しっかりと内容を検討し、納得のいくリフォームをしましょう。
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