窓リフォームの種類について、4つの工法と選び方を、リフォーム設計のプロが解説。
4種類の窓リフォームのうち、どの工法を選ぶかは、状況によって異なります。
間違った選択をしてしまうと、無駄に費用がかかったり、満足な効果が出ないことも。
正しい種類の工法で窓リフォームをすると、断熱や遮熱の性能が上がり、家の暑さや寒さ、結露などが劇的に改善します。
また、窓の位置や大きさを変えるリフォームについても解説。
窓の位置や大きさは、ほんの少し変えるだけで、風の通りや部屋の雰囲気がグッとよくなることも。
家を快適にするために行う「窓リフォーム」
あなたの家に合う窓リフォームの種類が選べるよう、ぜひ最後まで読んでくださいね。
これからリフォームをするすべての人に、読んでほしい記事はこちら。
窓のリフォームは、リフォーム会社選びが重要です。
おしゃれなリフォームをするために、絶対必要な5ステップをまとめた記事はこちら。
10万円以上のリフォームをする人が、必ず知っておくべき内容をまとめた記事はこちら。
窓の失敗例についての記事はこちら。
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キッチンの窓についての記事はこちらをどうぞ
お風呂の窓についての記事はこちらをどうぞ
室内の暑さ対策についての記事はこちらをどうぞ。
窓リフォームの工法4種類+α
窓リフォームの工法は以下4種類。
- 窓を交換
- リフォーム窓を使ってカバー工法で窓を交換
- 今ある窓を残して内窓をつける
- ガラスだけ交換
大掛かりなもの(費用がかかるもの)から順に並べました。
4種類の他に、オプション的な窓リフォームとして、以下のようなものもあります。
- シャッターを後付け
- 面格子を後付け
1つずつ解説していきますね。
窓リフォームの種類①窓を交換
窓リフォームの種類、1つ目は窓の交換。
窓を交換する工事の手順は、以下。
- 手の届かない位置にある窓を交換する場合は足場を組む
- 今ある窓をモルタルやサイディングなどの外壁材をカットして「すべて」撤去
- 新しい窓を取付
- 窓まわりの防水をやりかえ
- モルタルやサイディングなどの外壁材をやりかえ
- 室内の内装も窓まわりを中心に張替
わりと、大掛かりな工事になります。
そんなことはありません。
大掛かりだからこそ、デメリットがほとんどなく、完全なかたちで窓の交換ができます。
メリット
- 最新の窓をたくさんの選択肢の中から選べる
- 窓自体の価格は他の工法の窓と比べて安い
- 外壁の防水も含めて完全に窓まわりが新しくなるので安心
- 交換する窓の本数が増えるほど、外壁工事や足場負担が分散されるため割安になる
デメリット
- 施工費用がかかる
- 工期も他の工法と比べて長くかかる
- 交換する窓の本数が少ないと割高
窓リフォームの種類の中で、「窓を交換する」工法が一番安心感があるため、筆者イチオシ。
窓リフォームの種類②カバー工法
窓リフォームの種類、2つ目はカバー工法。
出典:リクシル リプラス専用枠
窓をカバー工法で交換する工事の手順は以下。
- 今の窓の「障子」(開閉する部分のこと)だけを撤去し、フレームはそのまま残す
- 残したフレームの上に新しいフレームをかぶせる
- 新しい障子を入れる
カバー工法の場合、室内側からの施工だけで工事できる商品が多いため、足場は不要。
メリット
- 外壁や内装の工事なしで、窓が交換できる
- 施工が簡単で、工期は本数が少なければ1日でできる
- 施工する窓の本数が少ない場合に、費用がおさえられる
デメリット
- 既存窓のフレームの上に新しいフレームをかぶせるため、窓の開口寸法が巾・高さとも5~10センチくらいずつ小さくなる
- 既存窓のフレームの上に新しいフレームをかぶせるため、段差ができる
- 窓の選択肢が少ない
- 窓まわりの防水(外壁面)はそのままなので、少し心配が残る
- 窓自体の価格は他の工法の窓と比べて高い
- 窓自体の価格が高いため、施工する窓の本数が増えるほど割高になる
窓リフォームの種類③内窓
窓リフォームの種類、3つ目は今ある窓を残して内窓を取り付ける方法。
出典:リクシル インプラス
内窓を今の窓の内側に取り付ける工事の手順は以下。
- 今の窓を採寸
- 採寸したサイズに合わせて、内窓を製作
- 内窓を取付ける
工事自体は製作してきた内窓を取付けるだけなので、1窓あたりおよそ1時間。
そのお手軽さから、リフォームでめちゃくちゃ人気のある工事です。
メリット
- 外壁や内装の工事なしで、内窓が取付けられる
- 施工が簡単で工事があっという間
- 2重窓になるため、防音(遮音)性能が高い
デメリット
- 窓の選択肢が少ない
- 今の窓の形状によって、内窓が取付けられない場合もある
- 既存の窓はそのままなので、劣化している場合はそのまま不安が残る
- 窓まわりの防水(外壁面)はそのままなので、少し心配が残る
- 2重窓のため、窓の開け閉めは2回ずつ必要なので面倒
内窓のよくある後悔を別記事にまとめました。
あわせて読んでみてください。
内窓でよくある後悔3つ!多くの施主が悔やむポイントをプロが教えます
窓リフォームの種類④ガラス交換
窓リフォームの種類、4つ目は窓ガラスだけを交換する工事。
窓ガラスを交換する工事の手順は以下。
- 今の窓の窓ガラスをビート(ガラスまわりのゴム)と一緒に撤去
- 単板ガラスから複層(ペア)ガラスへ交換する場合は、アタッチメントを入れる
- 新しい窓ガラスと新しいビートを入れる
ここまで紹介してきた窓のリフォームの中で、最も簡単な工事です。
メリット
- 施工が簡単で工期があっという間
デメリット
- 今の窓の形状によって、窓ガラスが交換できない場合もある
- フレームや戸車はそのままなので、不具合がある場合はそのまま残る
- 窓まわりの防水(外壁面)はそのままなので、少し心配が残る
最大のデメリット
- 特に単板から複層(ペア)ガラスに交換する場合、ガラスの重さにフレームが耐えられず、開け閉めがしにくくなったり、フレームがゆがんだりする
- ガラスの性能が上がってもフレームがそのままだと、フレームが結露したり、気密性が低いままだったりと、中途半端な効果しか得られない
この最大のデメリットがあるため、筆者は基本的に窓ガラスの交換はおすすめしていません。
特に、単板から複層(ペア)ガラスに交換する工事は、窓ガラスが網戸に干渉してしまうケースも多く、その場合は網戸の作り直しも必要になります。
窓リフォームの種類+α①シャッターを後付け・面格子を後付け
窓リフォームの種類、プラスα編です。
1つ目はシャッターや面格子の後付けリフォーム。
よくある要望が以下。
- 防犯が気になるようになったので、シャッターや面格子をつけたい
- 台風の時にシャッターがなくて、窓が割れそうだったからシャッターをつけたい
このような要望があるときは、後付けの面格子やシャッター取り付けリフォームがおすすめ。
また、手動シャッターを電動シャッターにするリフォームも人気があります。
窓のリフォーム工法【選び方】
窓のリフォーム工法の種類について、ここまでお話してきました。
こんな疑問を持つ人も多いと思います。
次は、ケース別に選ぶべき窓リフォーム工法についてお話します。
全面リフォームの場合
外壁材の更新や塗装工事、内部の全面改装などと一緒に窓のリフォームを考えている場合は、「窓の交換」リフォームがおすすめ。
外壁材を更新したり、室内の内装をやり替える工事(クロスの張替など)と一緒なら、窓の交換のためだけに外壁や内装をやりかえるわけではないので、費用のロスが少なくなります。
家の窓すべてをリフォームしたい場合
家の窓すべてをリフォームしたい場合も、「窓の交換」リフォームがおすすめ。
そして、以下のリフォームもあわせて検討してほしいです。
- 外壁の更新(塗装だけではなく仕上材ごと更新)
- 内装のやりかえ
「どうしても外壁の更新や内装はやりたくないけど、家の窓すべてをリフォームしたいんだ」
このような場合は、「内窓」のリフォームをおすすめします。
少ない本数(1~5本程度)の窓だけリフォームしたい場合
数本の窓だけをリフォームしたい場合は、
「カバー工法」または「内窓」のリフォームをおすすめ。
今の窓とは違う種類の窓にしたい場合は「カバー工法」で、希望する種類の窓が今の窓の大きさに対応できるかを検討しましょう。
また、寒さや暑さなどを改善するような「窓の性能を上げるリフォーム」の場合は、1部屋の中で新しい窓と古い窓が混在しないようにすることが大切。
同じ部屋の中で新しい窓と古い窓が混在すると、古く性能のよくない窓から暑さや寒さが伝わり、新しい窓の効果が感じにくくなってしまいます。
騒音が気になる場合
今の窓から入り込む「騒音」を改善したい場合は、2重窓にするのがベストなので「内窓」リフォームがおすすめ。
複層(ペア)ガラスの1重窓でも、多少の防音(遮音)効果がありますが、2重窓の防音(遮音)性能の方が断然上です。
窓のリフォームで位置や大きさを変更できる?
窓の位置や大きさを変更するリフォームは、木造戸建て住宅の場合はわりとよくある工事。
逆に、マンションやRC住宅ではほとんど行わない工事です。
窓の位置やサイズを変更する場合は、今の窓を完全に撤去し新しい窓を取り付ける「窓の交換」工事を選択することになり、外壁や内装の工事もあわせて必要になります。
また、位置を変更したり大きくしたりして、今現在窓ではない部分が窓になる場合は構造の検討が必要。
特に巾方向に位置や大きさを変更する場合は、柱や耐力壁をさわるケースが多いため、構造の補強をして対応できるかどうかをよく検討する必要があります。
高さ方向に位置や大きさを変更する場合は、構造的に影響がないことが多いため、ほとんどの場合で施工可能。
そして、窓を小さくしたり、窓をなくす場合は、法律で決まっている「採光や換気」が取れる範囲でなら、構造の検討なしで施工可能です。
今のままの窓の位置でリフォームをするよりは、窓の位置や大きさを変更する方が、工事のボリュームとしては大きくなります。
でも、それによって室内の環境が大幅によくなる場合には、窓の位置や大きさの変更は検討する価値が十分にありますよ!
リフォーム会社とよく相談して検討してみてくださいね。
窓のリフォームをすると改善すること
窓のリフォームをすると、劇的に室内が快適になると先にお話しました。
それはなぜかというと、窓(サッシやガラス)の性能が、数年のうちに目まぐるしく進化しているから。
昔の窓は、
- すき間風が入ったり
- 暑さ、寒さなど、室内と外とで熱の出入りが大きかったり、
- 結露したり
- 劣化しやすかったり
このように、欠点が多くありましたが、
最近の窓は暑さ、寒さ、結露、防音など、色々な面で本当に優秀。
ひと昔前の窓とは段違いの性能です。
性能の高い窓にリフォームをすると改善することのうち、主なものは以下。
- 冬の寒さや夏の暑さが改善
- 遮熱性能アップ
- 結露が軽減
- 防音(遮音)性能アップ
- 防犯性能アップ
- 開閉がラクになる
また、窓の位置や大きさを変更することによるメリットは、以下。
- 部屋が明るくなる
- 風通しや換気効率がよくなる
1つずつ簡単に説明していきますね。
性能の高い窓にリフォームすると改善すること
性能の高い窓にリフォームをすると、改善することを説明していきます。
冬の寒さや夏の暑さが改善
出典:YKKap 窓リフォーム
熱の出入りが一番多いのは「窓」などの開口部。
室内に入ってくる熱のうち、70%以上が窓などの開口部から入ってきます。
その「窓」を断熱性能の高いものにすることで、
- 冬の暖房で暖かい室内の空気
- 夏の冷房で涼しい室内の空気
を、外に逃がしません。
空調の効率が良くなるので、冷暖房費用も減らすことができて、エコです。
遮熱性能アップ
断熱のところに張った図にもあるように、室内に入り込んでくる熱のうち、70%以上が「窓」などの開口部から入ってきます。
遮熱性能の高い窓なら、その熱をはね返し室内に入れません。
また、紫外線をカットするガラスを選べば、人体や室内の床や壁に悪影響を及ぼす心配もなくなります。
結露が軽減
冬に多い窓のお悩み、結露。
ジメジメとカビが生えたりして、不衛生ですね。
古い窓だと冬の寒い外気によって窓自体も冷たくなり、その窓に室内の暖かい空気が触れると、一気に冷やされて結露となります。
そのため、結露対策には「窓を冷たくしないこと」がポイント。
最近のサッシは断熱性能が優れているため、窓の室内側が冷たくならないようになっています。
防音(遮音)性能アップ
昔の窓と比べて、今の窓は気密性が高いため、防音(遮音)性能も高くなっています。
この防音(遮音)性能は、内窓をつけ2重窓にした場合に特に有効です。
防犯性能アップ
新しい窓にシャッターや面格子をつけたり、防犯ガラスを使用すると、防犯性能がアップします。
特に戸建ての1階は、窓の防犯についてしっかり考えておきましょう。
開閉がラクになる
古い窓はフレームがゆがんでしまったり、戸車がゆがんでしまったりして、開け閉めがしにくくなります。
開け閉めのしにくさは突然起こることもありますが、多くは年数が経つにつれ徐々に悪くなっていくため、その不便さを実感できていないことも。
リフォームで窓を新しくしたことで、「今までの窓は開け閉めしにくかったんだとわかりました」と言う施主様がたくさんいらっしゃいますよ。
窓の位置や大きさを変更すると改善すること
次は窓の位置や大きさを変えることで改善することについて説明します。
部屋が明るくなる
窓を大きくしたり、日当たりのいい場所に窓をつけた場合は、部屋が明るくなるというメリットがあります。
そして、重要なこと。
↓ ↓ ↓
- 窓を横に大きくするより
- 窓を縦に長くしたほうが
室内が明るくなります。
出典:リクシル サーモスⅡ-H
巾が狭くても縦に長い窓は明かり取りに最適。
風通しや換気効率がよくなる
冷暖房をしない季節は、家の中の空気が絶えず流れていると、気持ちのいい室内環境が保てます。
画像のように、風の入口と出口を考えて窓を設けると、風が流れる気持ちのよい家になります。
換気扇をつけても、窓や給気口などから風が入ってこないと、室内が負圧になり空気を思うように吸わないので注意しましょう。
窓リフォームの必勝法
窓リフォームの種類や選び方はさまざま。
自分の家に合った窓リフォームを選ぶのはもちろんですが、リフォームを成功させるためには秘訣があります。
リフォームを失敗する人が1人でも少なくなるようにと、記事を書きました。
↓ ↓ ↓
リフォーム成功に必要なたった1つのこと|すべての失敗はコレが原因
リフォームのウラもオモテも知り尽くした筆者が、あなたにリフォームの必勝法を教えます。
窓リフォームの種類|まとめ
窓リフォームの種類についてお話してきました。
それぞれの工法のメリットやデメリットをよく考えた上で、リフォーム会社と相談しながら決めましょう。
窓をリフォームすると、冬の暑さや夏の暑さを劇的に解消する上、結露や騒音も改善。
とくに昔の古い窓がついている場合、最近の窓はとても高性能なので、リフォームの効果は抜群です。
また、筆者はこれまでの経験上、「窓の性能を上げたい」という目的でするリフォームの場合、「ガラス交換」はおすすめしていません。
そして、窓の位置や大きさの変更については、構造の検討が重要。
こんな残念なことがないように、リフォーム会社によく検討してもらってくださいね。
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